第1楽章:旋律 -メロディー-

2/20
前へ
/22ページ
次へ
朝がやってくる。 いつもと変わらぬ朝。 初夏も近づく朝の日差しはポカポカとしていて実に眠気を誘う。 ピピピピピピピピ!! ベットに置かれた目覚ましが指定された時間を告げている。 「ん~っ……」 僕はベットの中から手を延ばし、目覚まし時計を探す。 ゆらゆらと手は虚空をさ迷い、やがて目当ての物を見つけると時計の上のスイッチを切る。 「ん♪」 僕は再び気持ちいいまどろみの世界に戻る。 暫くすると、階段を上ってくる足音が聞こえる。 僕には毎朝起こしに来てくれる近所にすむ幼なじみが居る。 因みに、僕の両親は海外へ仕事で飛び回り、家には僕しかいない。 これだけ聞くとどこぞの恋愛ゲームのようだが、その起こしに来る幼なじみが… 「おら!起きろ坊主!」 男なのだ… 「恭介…」 彼は伊達 恭介(だて きょうすけ)幼なじみである恭介は家が近所で小さい頃から一緒にいて、友達というより兄に近い存在だ。 「おら、さっさと起きろ」 恭介は乱暴に僕の布団を剥ぎ取る。 「寒い…」 「何言ってんだよ!朝飯、出来てるから!10分後に下な。二度寝はすんなよ!」 そう言って恭介は階段を下りていった。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加