ユーモレスク

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砂浜のすぐそばにある小さな喫茶店に子供2匹と居候しはじめたのはいつ頃だったろう。 暑い夏を3回越えた記憶はあるのだが。 いつも店前のベンチに居座っている栗色の仔犬がマロンという名で、気ままに出掛けて、お腹が空くと帰ってくる仔犬がミルク。 前の名はもう忘れてしまったけれど、ミルクという名は一度付け替えられた名前で、何度もミルクを広げた皿の上で寝ていた事からそう呼ばれるようになったのを憶えてる。 そして私はキング。誰が何言おうと動じない、我が道をゆく性格から付けられた名前。 雑種の大型犬で、マロンとミルクの母親だけれど、現在親放棄中。 私たちの名付け親はこの店のマスターとその娘さん。 娘さんの方は、私たちがここに居ついてしばらくした後いなくなった。 パティシエというものになりたいと夢をおいかけて、この海を越えて行ったと耳にした。 その後世話してくれるようになったのは、がんこだけど頼りになるマスターと、泰然自若で料理が上手いお兄ちゃん店員と、週に2、3回必ずやってくる、いつも一言多い豪放磊落のボディボーダーの兄ちゃん。 マスターの娘さんがいなくなってしばらくして、本好きの天真爛漫な画家のお姉ちゃんも常連になって、私たちと遊んでくれるようになった。 ところで、最近私は面白いモノを見つけてしまった。きっと私しか知らない事。
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