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「!!」
遥は戸惑った。
相手は、振られなかった。
フェイントにひっかかることなく、遥にピッタリと付いてくる。
ちくしょう。
今までほとんど破られることがなかったフェイントがあっさり攻略されたことに、遥は少なからず衝撃を受けた。
邪魔だな、こいつ。
遥に決定的なプレーをさせまいと、しつこくボールを狙う相手に苛立ちが募る。
相手の眉はつりあがり、目はボールに集中している。
その表情からは「勝ちたい」という激しい感情が読みとれた。
その執念のプレーに、遥は思わずたじろいだ。
なんだよ。俺だって勝ちたいんだ。
どけよ。
勝ちたい。俺は勝ちたいのに。
ここでまたあっさりボールを奪われるのか?
終わり…なのか?
巧…柚子…。
相手の体中から発せられるオーラに、遥は激しい孤独感と不安に襲われた。
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