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「ねぇ巧くん、遥くん」
帰り道、母親と手を繋ぎながら、柚子は二人に問い掛ける。
「『こくりつきょうぎじょう』って、しってる?」
遥は不思議そうに首をかしげる。
「ぼく知ってるよ!こうこうせいの、うんとうまい人が行けるんだよね!」
巧は跳びはねながら言った。
「ほんと!?ぼく、そこ行きたい!」
遥が目を輝かせる。
「柚子たちなら行けるかなぁ?」
柚子が立ち止まり、二人を見た。
「行けるよ!」
巧が胸をはる。
「三人で行こうよ!がんばって練習して、絶対行くんだ!」
遥が大声で叫ぶ。
「じゃあ、やくそくね。」
「うん!」
巧と遥は、声を揃えて言った。
薄暗い路地に、手を繋ぎ、スキップしながら帰る三人の影が、大きく大きく伸びていた。
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