俺とクロカミさん

4/6
前へ
/17ページ
次へ
「……あっ、えっと……何?」 すぐに反応が出来ず、口がもたつく。 「……あなた、近々部活で公の場に出るわよね」 クロカミさんは静かに言った。 確かに、来月初めに新宿の小さいハコでコピーイベントのライブをすることになった。 俺がギター、ドラムが総也、ボーカルの陸とベースの結城の4ピースバンドだ。 「出るけど、それがどうかしたかな」 弱気に発言してみる。 「はっきり言って、出ない方がいい」 いつも喋らないわりには、アナウンサー並みに滑らかにはっきり喋るクロカミさん。 出ない方が……いい? 俺は状況をよく飲み込めない頭をフル回転させていた。 「そう、出ない方がいい」 まるで心を読まれているかのように、受け答えされる。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加