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「それは、どういう意味かな」
未だによく把握出来ない。
「そのままよ。出るなと言っているの」
決して命令口調ではないものの、有無を言わせぬ風格がある。
しかし、急にそんなことを言われても困るのはこちらだ。
「根拠は?」
俺の問いにクロカミさんは答えなかった。
ただ、俺を真っ直ぐに見つめている。
俺はクロカミさんに恐怖心を抱き教室から逃げるように出た。
言い負かしたと思ったはずなのに、俺の中にクロカミさんの言葉が渦巻く。
「出るなと言っているの」
なぜクロカミさんが俺のバンド活動に対して口を出すのかはわからない。
けれど、ここで止めるわけにはいかない。
ここで止めたら今までの練習は何だったんだ。
みんなに何と言えばいいのか。
校門で待ってる総也が見えた。
「おせーよ」
冗談交じりに怒る総也。
「悪い悪い。ちょっとな」
笑って返した。
そう、みんなと出ると決めたのだ。
今さら退くわけにはいかない。
帰り道で俺は心に誓った。
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