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公園につくとぶん太さんのリードを放してあげる。
うれしそうに走りまわっている。
―ゴロン―
あまりにも天気がよくて、気持ちよさそうだったから、私は芝生の上に寝転がってみた。
(気持ちいぃなぁ)
仕事の事も恋愛の事も忘れてしまいそうになる…。
女も三十近くなると、いろいろ考える事が増えてくる。
仕事はショップの店長を任されている。
やることはたくさんあるけど、やりがいのある仕事だ。勤めて9年目、今が一番楽しい。
恋愛…に関しては…いまいち本気になれないといぅか、のりきれないといぅか…。
はっきり言ってしまえば、5年前に別れた元カレを忘れられない…ダメな女。
(あ、…落ち込んできた…)
「わふ♥わふ♥」
ぶん太さんが誰かとじゃれている。
(誰とじゃれてるんだろ?)
私は起き上がって、ぶん太さんの方へ近付いてみた。
‼‼‼‼‼‼‼
死ぬほどびっっくりした❗
「かーわいぃなぁ、おまえ⤴」
なんてぶん太さんに声をかけている彼は、まぎれもなく、私が5年間もずるずるひきずっている彼なんだから❗
彼はまだ私に気付いていない。
(どうしよう…なんて声かけたらいいの?)「た、たくみ⁉」
…声、裏返っちゃった…
「おぅ❗…え⁉あきら⁉」
覚えてた❗嬉しかった。
「なに?こいつ、あきらんトコの犬?」
たくみはぶん太さんの頭をなで回しながら言った。
「うん。」
「そっか。…久しぶりだね?元気にしてた?」
「うん。元気だよ。たくみは?」
(よし!スムーズに喋れてる!)
私は心の中で小さくガッツポーズをした。
「んー…元気は、元気なんだけど……」
「彼女いねーからさみしー‼‼」
ぶん太さんに抱きつきながらたくみが叫んだ。
「びっくりするじゃん❗急に大声ださないでよ❗」
なんていいながら、たくみに彼女がいない事がうれしくって、たくみの肩をバシバシ叩いてしまった。
「イテ💥イテ💥あきらはどーなの?」
「い、いるわけないじゃん❗仕事が恋人❗」
(ずっとたくみをひきずってるっちゅーの!)
「相変わらず仕事かよ。仕事もホドホドにしとかねーと一生独身ダゾ?」
笑いながらたくみが言った。
「たくみに言われたくないよーだ」
あっかんべーをしながら答えた…。
(…ホントハ、タクミガワスレラレナカッタンダヨ…)
時間を忘れて、私達は離れていた間の出来事を夢中で話した。
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