朝=憂鬱

2/4
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
  「おはよう、智佐都。今日も眠そうだな」 「あ、ああ。おはよ」 朝は眠い。 挨拶をしてきたクラスメイトに適当に返事をして、俺は教室に入った。 フツーに過ごしている高校生ですら眠い、眠いとぼやいているんだ。 俺が眠くないはずがない。 だって昨日は寝てないんだ。 俺は、フツーの高校生じゃない。 フツーでありたかったけど、な。 高校生って職業の他に、“怪盗”をしてる。 これは全て親父のせい。 『オレもう年だし、引退すっから!あとは智佐都クンよろしくな~』 なんて言って、俺に怪盗を継がせた。 そのくせ、なんやかんやと口を出して来る。 俺からしてみれば、うざったいことこの上ない。 誰かあの親父仕留めてくんないかな…。 「―――…!」 「ん?」 狭い教室の中、何か大きな声が聞こえてその方を向いたら、そこには人だかりが出来ていた。 「今朝の新聞、見た?」 「見た!また出たんでしょ?涼月が!」 ――涼月。 今、一番新聞の1面をよく賑わせている怪盗の名前。 ていうかかなり恥ずかしいことにそれは俺だ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!