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「おはよう、智佐都。今日も眠そうだな」
「あ、ああ。おはよ」
朝は眠い。
挨拶をしてきたクラスメイトに適当に返事をして、俺は教室に入った。
フツーに過ごしている高校生ですら眠い、眠いとぼやいているんだ。
俺が眠くないはずがない。
だって昨日は寝てないんだ。
俺は、フツーの高校生じゃない。
フツーでありたかったけど、な。
高校生って職業の他に、“怪盗”をしてる。
これは全て親父のせい。
『オレもう年だし、引退すっから!あとは智佐都クンよろしくな~』
なんて言って、俺に怪盗を継がせた。
そのくせ、なんやかんやと口を出して来る。
俺からしてみれば、うざったいことこの上ない。
誰かあの親父仕留めてくんないかな…。
「―――…!」
「ん?」
狭い教室の中、何か大きな声が聞こえてその方を向いたら、そこには人だかりが出来ていた。
「今朝の新聞、見た?」
「見た!また出たんでしょ?涼月が!」
――涼月。
今、一番新聞の1面をよく賑わせている怪盗の名前。
ていうかかなり恥ずかしいことにそれは俺だ。
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