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世間での評判では俺は、
“盗む手際は鮮やかで、無駄なことは一切何もせず、怪我人も出さない。盗むのは大抵悪者から”
と、ほとんど義賊として語られている。
俺としてはまったくそんなつもりはない。けど、そのせいで、警察からはかなり嫌われている…。
一体、どうしろってんだ!
「おはよう智佐都。」
そんなことを考えていたら、後ろから声がした。
驚いて振り向いたら、そこには優雅に微笑む幼馴染み、紅雪がいた。
「おはよう、紅雪。」
「今日も眠そうだね。昨日は、ちゃんと寝たの?」
「う、うるさいな。ちゃんと寝たよ!」
思わずドモってしまったけど、バレてない、よな?
紅雪は俺の近くにいる人間の中で、一番気を付けなきゃいけない人物だ。
何故なら、こうして涼月が出た次の日には、俺の睡眠時間について妙に気にする。
涼月が出没するのは深夜も深夜。草木も眠る丑三時、だから。
と言って、一番コイツが油断出来ない訳はこれだけじゃない。
警察に混じって、涼月を捕まえようとしているからだ。
実際、何度も捕まりそうになったこともあって、かなり焦ったのを覚えている。
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