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「ねぇ、智佐都。聞きたいことがあるんだけど」
まさか、本当に俺のこと疑ってるのか?
これは、マジでヤバイ、よな。
「珍しいな、なんだよ」
なるべく平静を装って、尋ねてみた。
「何で涼月を捕まえられないんだろ。あたし頑張ってるんだけどなぁ」
――それはあなたのことを死ぬ程、親父よりも警戒してるからです、だなんて口が裂けても言えない。
とりあえず、まだバレてはいないようだ。
「さあな。向こうも警戒してんじゃねぇの?お前、顔見られてんだろ?」
「そうかな…」
びっくりした。コイツのこんなに弱気なところを見たのは久しぶりだ。
「ねぇ、智佐都だったらどうする?」
「…何が?」
すると紅雪はキレイに微笑んで、
「そんな生意気な怪盗サンを捕まえる方法」
と言ってきた。
……。
俺に訊くな。
何て答えればいいんだ?
何て答えれば怪しまれない?
あんまり黙っていてもダメだ。
…それとも、これはワナだったのか?
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