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目覚めると、隣の家が消えていた。
私は窓から外の様子を伺い、確信した。昨日まで日差しを遮っていた茶色い壁は忽然と姿を消し、何事もなかったかのように小さな畑がそこにある。
また、だ。
このところ、周りにあるものが突然消えたり姿を変えてしまったりということが頻繁に起こっていた。隣の家だけではない。映画館は三軒並んでいたはずなのに一軒だけになった。学校は三階建てだったのが五階建てになり、壁の色も白に変わった。そういえば元は何色だっただろうか、もう定かでない。
中でも一番奇妙なのは、母親の背が異様に縮んでいたことだ。あれは何日前のことだったか。よっぽど言おうかと思ったが、すんでのところで飲み込んだ。言っても仕様がないということを思い出したのだ。
この変化は私にしか分からないらしい。
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