力を欲する者、拒絶する者

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力を欲する者、拒絶する者

 二人を見てたとき、僕は力が欲しいと思った。    ただ死に震えるだけの自分が卑怯者に見えた。    彼女は何度も僕に『逃げろ』と叫んだのに。僕は逃げる事が出来なかった。    きっと、僕は心のどこかで死に執着していたんだ。   『イッソ、死ンデシマエバ、コンナニ苦シマナクテ済ムノニ』    その声はいつもあの足音ともに聞こえてくる。    その次の瞬間、彼女の背中に剣が聳えていた。    そしてゆっくりと引き抜かれて、彼女は地に墜ちていった。   「あっ」    僕は無我夢中で彼女を追った。    だって、彼女がいなくなると誰も僕の味方はいなくなる気がしたんだ。
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