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無惨
私は、海に向かって祈りました。
どうか無事で助かって、私のもとに戻って来て。
祈り続けました。
2隻の船が港に戻ってくるのが見えてきました。
新栄丸を曳航して、帰って来たのです。
新栄丸の無惨な姿に、愕然となりました。
港に引き上げられた新栄丸に私は泣き崩れてしまいました。
彼は、見あたらない。
4日後。事故現場から東に270キロ先で、彼の遺体が見つかりました。
私は、彼の遺体を見せてもらえなかった。
虎さんが涙ながらに、見ない方がトモちゃんの為だからと言って、最後の最後まで、見せてもらえなかった。
私は、村を出ました。
和歌山市内に住んで、友達も出来ました。
その友達に、美味しいケーキ屋さんがある。一度行って来たらと、進められました。
それが、このお店でした。
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