見ていた。

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見ていた。

  朋美がお店で働き始めてから、雰囲気が変わった。   テーブルには、花が飾られるようになった。   陽気で明るく振る舞い、お客様にも優しく接している。   俺はその姿を店の奥から、いつも見ていた。     私はお店の奥で粉だらけになりながら、ケーキを作り上げていくあなたの姿を見ていた。     俺はいつしか、朋美に好意を持ち始めていた。   お店が終わり、片付けをしている。   戸締まりが終わり、帰ろうとした時、   朋美の車が、俺の横で止まって窓が開いた。     もし良ければ、一緒に食事しませんか。     俺は断る理由も無く、朋美の車に乗った。    朋美の車のオーディオから、コブクロの蕾が流れていた。   ダッシュボードには、彼の写真が飾られいる。 俺は、写真を見ながら。本当に俺に似ていると思った。     その人が彼です、ヒロさん似ているでしょう。     りんくうゲートタワーで食事をして終わった。     ヒロさん、少しドライブしませんか。お店でお話ししたくても出来ないしいいですか。      俺も話しがしたいと思っていた。ゆっくり話しが出来る場所に行きましょう。     車の中では、何も話ししない。   和歌山湯浅の港に着いた。もう夕闇に包まれていた   朋美と俺は、車を降りた。   防波堤を歩いて、沖を見ながら立ち止まった。     この港から彼が毎朝、漁に出ていたの。そして事故にあった。 ヒロさんに逢えたのは、彼が導いてくれたのかな…。 ヒロさん、私と付き合ってくれませんか。     こんな俺で良ければ。彼と違うと思う、それでもいいのか。   朋美の気持ちを受け止めた。
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