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幼い頃、彼女は体が弱く、他の子供達の様に外に出て遊ぶ事など殆ど無かった。
風邪を引けばすぐに肺炎などを誘発し、食べる物にもアレルギーを持つ。
入院なんて事も少なくなかった。
遊び盛りの子供達は彼女の事を気にかける事はなく、思い思いに外へと出かけていく。
公園や空き地、それらの場所で日が暮れるまで遊び耽る。
そんな中、あたしは毎日彼女と過ごした。
親同士も仲が良く、幼なじみだったからそれが普通だと思っていた。
そして…幼いながらに、彼女がみんなと違う事には気づいていた。
外に出られない彼女に、あたしは自分の本や、おもちゃを持っては遊びに行く事が多くなった。
彼女も本当に喜んでくれて…それが嬉しくて。
初めは体の弱い彼女に同情していたかもしれない。
そんな風に考えていたあたしは、他の同年代の子供よりも少しだけ大人びていたのかも。
彼女との遊びはおままごとが多かった。
勿論、彼女はお母さん。
あたしはと言うと…お父さん、子供、驚いたのは、ペットや愛人なんてものまであった。
あたしは彼女に提案されたそのどんな遊びにも喜んで頷いた。
そしてある時、彼女が言った。
「…あたし……女の子のお友達が良かったな…」
あたしはどんなに頑張っても女の子にはなれない。
でも…この時決意した事は今も忘れない。
幸い、幼い頃から可愛い物や綺麗な物に興味を持ち、容姿も明らかに女の子の様に可愛かったあたしは、そんな過去を経て今に至る。
そして案外それにはまっている。
あたし、日向康誓。(ヒュウガヤスチカ)
通称チカ。
生物学的には男…のはず。
そして彼女、真鍋瑠依。(マナベルイ)
通称ルゥ。
二人はこの春、高校生になった。
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