紅き狂宴

プロローグ

ゴポ ゴポ

ポンプで空気を送る音が響く室内。硝子張りの水槽内では、小さな気泡が、忘れた頃に上がっていく。
薄暗い室内は廊下のように長く、永遠に続くかのように、奥は闇で見えない。
水槽の水の中を光が屈折し、床がユラユラと揺れているような錯覚がする。
廊下のサイドを埋め尽くす水槽の中には、大きさは違えど、ソレを中心に幾重にもコードが延びている。

ゴポ ゴポ

規則正しく、水槽内へ酸素が送られる。
世界の音は、コレしかないように。