第一章:日が向かう先は希望

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「どうしたの? 明、 最近なんか変よ!」 「そうかなぁ……。 あんまりいつもと変わんないよ?」 微笑みながら明が少女に答えた。 少女の名前は杉乃 勇(すぎの ゆう)同級生であり幼なじみである。 明にとっては、昔から仲が良くなんでも話せる大事な人間だ。 「それよりさ! 僕、レギュラーなれそうなんだよ!」 「スッゴいじゃん!! あんた、こんな女の子みたいなのに頑張ってるんだ!」 「うるさいなぁ! 自分だって男みたいなくせに!」 「なによ~。怒ってんの?」 明は、勇の質問に答えずに、母親が作ってくれた弁当から卵焼きをとって乱暴に口に突っ込む。 「もうゴメンってば~。 レギュラーになれて良かったねぇ~。いつ試合なの?」 明は話題が変わるとふわっと笑顔になった。 「えっと~。来週の土曜日だったと思う!」 「そうなんだ……。 あっ!あんた、コンクールがあったんじゃなかったっけ!」 「あ~……。 野球の試合に出るよ! 次に重なったら、コンクールだね」 「まぁ、あんたがそう言うなら何も言わないけど……。 でも……おばさん期待してるんじゃないの?」 「だ、か、ら!今回は野球だってば! 次はコンクールの方を優先するって!」
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