第一章:日が向かう先は希望

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 ドンッ! 鈍い音が教室に響いた。 勇がいじめていた男子の1人を蹴り飛ばした音だった。 「……いってぇよ!」 その男子は、しりもちをついたまま勇を睨みつけた。 教室が静まりかえる……。 ふっ……と男子と勇の間に誰かが立ちふさがった。 男子は、その小さな背中に見覚えがあった。 それは、ついさっきまで罵声をあびせていた背中だったから。 勇は、怒っていた表情から驚いた表情に変わっている。 「ご、」 「ご?」 勇は明が何を言いたいかわからず、繰り返すように聞いた。 その場にいる全員が次の言葉を待った……。 「ご、ごめんなさい!」 「は?」 みんなその言葉の意味がわからず唖然としている。 その中で勇だけが明に話しかけた。 「なんであんたが謝るのよ! あんた、悪い事してないじゃん」 「いや、あの……僕がケンカの原因だから……」 「いや、あのね、私が怒ってるのはね……」 「悪かったよ! ごめんな。からかったりして……。 もう言わないからさ……。 許してくれないかな?」 勇に蹴られた男子が明に謝ったのを見て、今までいじめていた男子も次々と謝り出した。 勇はそれを、満足げに見つめていた。
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