第一章:日が向かう先は希望

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 30分後には、みんな普通に戻っていたが勇だけが険(けわ)しい顔をしていた。 「……いっ! あちゃ~足首ひねっちゃったか~。 いったいけど、いっか! ……ん?」 視線を感じて、後ろを見ると明がじっ、と見ていた。 「どした?」 ニコッと笑いかけながら勇が聞いた。 「いや、あの……足、もしかして痛いんじゃないかなって思って……」 明は視線を下に下げたまま、たどたどしく答えた。 「あ、あぁ。 わかったんだ。大丈夫だよ。 あんまり痛くないし」 ホントは、とても痛かったが勇は強がってみせた。 しかし、明は納得した顔をせずに、視線を泳がせながら、自分の頭の中の考えを必死に言葉にしようとしていた。 「いや、えと、さっき、イスに座った時にすごく痛そうだったから……さ。 一緒に保健室行こ?」 問いかけながら、自然と明は笑顔になっていた。 勇は、一瞬目を奪われたが、すぐに我に返ってまた断った。 だが、明も退かずにまた誘った。 明と勇の、行く行かないの問答は、思わぬところでけりがついた。 「お前達、ちょっとうるさいぞ!」 「先生!」 明が、間髪を入れずに呼んだ。 担任が聞こうとすると、明は一方的に話し始めた。「杉乃さんが、体調悪そうなので保健室に連れて行ってきます!」 今まで、ぼそぼそとしゃべっていた明の、思ってもみない大声で担任も驚きながら許可を出した。
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