478人が本棚に入れています
本棚に追加
「杉乃さん、行こ!」
少し低い位置にある明の肩を借りて、勇は保健室に向かった。
保健室の前まで来た後、明が話し始めた。
「さっきは……ありがとう!
あんな風にかばってもらったのに……何も言えなくてごめんなさい」
「別にいいよ。
それよりさ、あんた悔しくなかったの?
あんな風に好き放題に言われてさ!」
明は、思ってもみなかった質問に慌てた。
「あ、えっと……。」
明は、完全に黙ってしまった。
勇は、ふと思った事を質問しただけなのに答えない明を見て、少しいらだった。
「あぁ、もういいよ。
ありがとね。先に教室戻ってて」
そっけなく言われて、明は寂しそうな顔をしながら無言で、帰って行った。
幸い勇のケガは大した事はなく、シップを貼るだけで治ると言われた。
しかし、なぜか勇の心はあまり晴れやかなものではなかった……。
最初のコメントを投稿しよう!