第一章:日が向かう先は希望

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「杉乃さん、行こ!」 少し低い位置にある明の肩を借りて、勇は保健室に向かった。 保健室の前まで来た後、明が話し始めた。 「さっきは……ありがとう! あんな風にかばってもらったのに……何も言えなくてごめんなさい」 「別にいいよ。 それよりさ、あんた悔しくなかったの? あんな風に好き放題に言われてさ!」 明は、思ってもみなかった質問に慌てた。 「あ、えっと……。」 明は、完全に黙ってしまった。 勇は、ふと思った事を質問しただけなのに答えない明を見て、少しいらだった。 「あぁ、もういいよ。 ありがとね。先に教室戻ってて」 そっけなく言われて、明は寂しそうな顔をしながら無言で、帰って行った。  幸い勇のケガは大した事はなく、シップを貼るだけで治ると言われた。 しかし、なぜか勇の心はあまり晴れやかなものではなかった……。
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