prologue:割れた窓、塞がらない俺の口

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「少年」 「え、なに?」 割れた窓を呆然と見つめる俺に、少女が後ろから声をかける。 「邪魔だ。ちょっとどいてくれないか」 「はい?」 俺が『え?ここ俺の部屋なんだけど。なに調子くれちゃってんの、君は』って感じの目で、少女を見上げたその瞬間。 急に強い風が窓から吹き込んできたかと思うと、その割れた窓から1人の黒服の男性が、文字通り『飛び込んできた』のだ。 「……」 開いた口がふさがらないどころか、開きすぎて顎が外れそうだ。 なに?俺の部屋はトンデモ現象発祥の地なの? とりあえず明日になったらすぐ引っ越そう。迷わず引っ越そう。 目の前の現実を直視しないよう、視線を下に逸らしながら、俺は心の中で固く決意するのだった。 「……また黒服か。お前らでは百人束になっても話にならんぞ」 少女が男を見ながら何か沸いたこと言ってる。 百人とかマジ勘弁してください。 部屋に入りきりませんから。 俺、圧死しますから。 「……」 かたや男は無言でなんか戦闘ポーズ。 え、なにこの人戦う気満々になってるの? とりあえず戦うなら外行って欲しいんだけど。 割と切実に。 「……わからん奴だな」 少女はそれを見ると『やれやれ』と首を振り、スッと片手を差し出す。 「とんでけ」 そしてその一言ともに―― 「いっ!?」 いきなり男の身体が真後ろに吹き飛び、そのまま割れた窓から外に放り出されたのだ。
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