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散歩なんて、久しぶり。 まだ風は冬感じさせるように冷たく頬を突き刺した。 最近は忙しさに任せて文字通り心なく過ごしていた。 風の冷たさなんて世間の冷たさからしたら幾分かマシかな。 そんなことを思いながら夜の静寂の中を少し足音をたてて歩く。 なかなかいい気分だ。私は今、夜を全うしている。空からは月のスポットライト。さながらヒロインのような錯覚をおぼえる。私は何もかも忘れこの空間に、身を委ねた━━━━━━━━━━━。                            夜の街を歩く。僕の日課みたいなものだ。 この時間になるともう勝手に体が動いてしまう。 僕は黒く動かないけどどこか優しい、この空間の虜になっていた。 誰もいない道の真ん中を闊歩してみる。 何かの映画の主人公になったみたいだ。 日常では聞こえない音も暗闇の中から僕の脳を揺らす。 風、木の葉、静寂の、音。 冷たい風まで心地好い。 僕はこの澄んだ空間に、身を委ねる━━━━━━━━━━━━。                                                                            別々に同じ道を歩く二人。 春は、すぐそこ━━━。
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