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昨日の今日で、準備するってのがまず無理な話なのだろう。
大体、華道の御家元と言っても見合いさせるような親じゃなかっただけに疑問も計り知れない。もちろん、猛抗議をしたが、父の泣きつきは凄まじいものだった。
とにかく、断るわけにもいかないという話で見合いを強制的に受けることになったはいいが、楓は見合い相手の顔すら知らなかった。寧ろ、なにも知らない。父は、いい人だと繰り返すだけで、めぼしい情報は得られない。そんなこんなで迎えてしまったが……それが最悪の一日の始まりだった。
何が悪いかって……よりによって遅刻の危機に立たされたのである。
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