序章
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近づいてくる男を不思議に思った女が問い掛ける。 「夜な夜な男が女の部屋に訪ねてくるといったら理由は一つでしょう。ましてやあなたは私の婚約者。そして……美しい女性でもある」 先ほどの笑いとは違った薄ら寒い笑いになった男は、にんまりとして女の方に更に近づいてきた。 「さあ、夜は長い」 身の危険を感じた女は後ずさる。 しかし……そこには冷たい壁があった。
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