序章

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****** ごめんなさい……。 ごめんなさい、お母さん。 ごめんなさい。 ごめんなさい……私のせいで。 私が……私が……。 キキー。 ロックされたタイヤは道路を滑っていった。 寒い……。 痛い……。 しとりしとりと降り注ぐ雨に、覚醒を余儀なくされて目を開ける。 「……大丈夫?怖くないよ……大丈夫」 言い聞かせるように、彼は私を強く抱きしめた。痛いほど、強く。 怖くないなんて嘘だ。だけれども、彼がいればきっと大丈夫だ。 「うん、大丈夫だよ」 「そう……良かった」 いつもの優しい笑顔をしているのがわかる。それが見れないのは……、彼が私を雨から庇うように抱きしめているからだ。 温かい……。
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