ワンルーム

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家に着いたのは空が色を変え始めた頃だった。 世間がそんなものだとも知らず、社会人になり三ヶ月間が経とうとしていた。着慣れないスーツを手足に通し、締めなれないネクタイを首に巻き重い気持ちで電車に乗る毎日が続いていた。 同じクラスだった奴らは専門学校や大学に進み、今だに明るく照らされている道を歩いている。 そんな光があるからオレの心は闇に喰われているんだと思う。 狭い部屋には詰め込まれるように家具が置かれ、Tシャツやパンツが散乱している。 そして当然のように流し台には汚れのこびりついた食器が山積みになっている。 たった二週間でここまで散らかす人間には片付けるという考えはないのだ。 いや~そにしても面倒だ、今から晩飯の準備をしなければいけない…いや、この時間だと朝飯とも言える。 パンを焼きコーヒーカップにインスタントのみそ汁を絞りお湯を入れた。そして焼き上がったパンには何も塗るものがなかったのでとりあえず塩を降りかけてみた。 明日はマーガリンかジャムを買ってこようと思いながら椅子に座った。 コーヒーカップを持ち、みそ汁の湯気で曇ったメガネを外した。 ちょうどその時だった。
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