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雨が降り注ぐ暗い夜道。
視界は遮られ、目の前すら雨のカーテンで見えない状態。
「早く帰らなきゃお母さんに怒られちゃう。」
鞠唖(マリア)は塾の帰り、赤い傘を差しながら走った。
パーーーーーッ
ドンッ
道を横切ろうとした瞬間、横の視界に眩しい光を確認する前に、強い衝撃が体を襲い、赤い傘が空高く舞い上がる。
宙を舞う体に鞠唖は浮遊感を覚え、車に引かれたという実感が無かった。
「私…死ぬのかな?」
『死なないよ』
不意に聞こえた、自分と同い年くらいの男の子の声。
「誰?」
『マリアは僕が死なせないよ。』
鞠唖の視界に無数の白い羽が舞い、気付いた時は病院のベッド。
奇跡的に軽傷で済んだ鞠唖。今や高校2年生。
あの事故から不思議な事は無くなったが。不思議な同居人が増えていた。
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