第二章:ゲーム開始

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頭をぐしゃぐしゃにしながら考えてみるがラチがあかない。 こういうときは変わったことをするのではなく、ありきたりなことをするのが一番だ。 そう、例えばトイレに行くだとか、本を読むだとか。 とにかく焦って考え過ぎないことが大切なのだ。 何をしたらいいのか分からず、とりあえず目の前にあったテレビのリモコンを手に取り電源をいれる――。 「ようこそ」 途端にあたしは凍り付いた。 テレビに写っているのは見覚えのない男の人。 無機質な白い背景に上から下まで真っ黒な服を着て写っているその人は、見るからに怪しい。 サングラスのせいで目元ははっきりしないが、口元は笑っている…。 そのせいだろうか、一見シンプルできちんとまとまっているのに、異様な雰囲気だ。 「さて…ゲームを始めようか……」 短い間がやけに長く感じられた。
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