誕生

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誕生

猿のような顔。 どっからど~見ても猿。 しかも、実感がない… 俺の子供とか。 時間が止まったよぅにピクリとも動かず その小さな猿の赤ちゃんを見てると… 『抱っこしてみる?』 看護婦がにいきなりの提案。 怖いなぁ~… つか首フニャフニャやんけ…… 『今…ですか!?』 うん。 と言う看護婦と目を合わす事なく、恐る恐るぎこちなく 受け取る。 確かに…ある。 腕の中にある。 これが抱いた第一印象と言うか… 感じた事。 笑顔の中にも憔悴しきった顔で 『名前…どうする?前言うてたやん……何やったっけ?』 と妻。 『さやか?やないの?』 『そぅそれ!さやか!』 俺としたらもっとこぉ~インパクトのある名前が良かった。 嫁の母が決めたよぅな名前…ほんまは嫌やった。 命名【沙耶香】 一週間後…沙耶香と妻が退院。 親父とお袋が 『あんたらのよりェェ布団やから』 と、早速部屋にベビー布団を用意した。 『小さいのによぉ~動くやん』 開いてるけど、見えへん目をフルに活用しキョロキョロとせわしなく首を振る沙耶香。 けど…実感がない。 俺の子供とか。 俺の子には間違いないんやけど。 何にしても… 無事生まれて良かった… と ありがとぉ…
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