【現在】

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小田和正の 【言葉にならない】 の挿入歌でも有名なあのCM ずっと気になってた。 友達にその話をすると 『たったひとつの宝物』 と言うノンフィクション小説を執筆した家族と、その亡くなった子供のCM違うか? と聞く。 本屋に行くと あった。 本を手に取りそのままレジへ向かう。 全てを読み終えるのに①日もかからなかった。 読み終えてから思い出したあの日の事… 沙耶香の喪が明け久々に出勤した俺に、かねてからそんなに喋らなかった 大西さん が横に座る。 『大丈夫ですか?』 はい… と答えると少し間を置いて大西さんがつづける。 『僕も去年に母親を亡くしたんです。身内を亡くすって本当に辛いですよね………。 分かります。 でもね。 やっぱりそこはヒデさんの方が辛いんですよ…』 大切な人間と別れる事に大小関係ないと思った。 でもそれを大西さんに反発する気力もなく 黙って彼の方を見ると 『僕は母親から愛情を注いでもらいました。 ヒデさんは娘さんに愛情を注いでいました。 注がれるのと注ぐ… 僕は… 沙耶香ちゃんに愛情を注いでいたヒデさんの方が辛いと思います。』 そぅ言って立ち去った大西さんを無言で見送る。 大西さんがぼやける… さぁ~ちゃん。 父さんは 愛情注いでたからこんなに悲しいんかなぁ… こんなに辛いんかなぁ… さぁ~ちゃんに会いたい 夢の中ででもいぃから もう一回… さぁ~ちゃんに会いたいんや………
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