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家に着き母が駆け寄る。
『さぁ~ちゃんどぅしたん!?』
下痢と嘔吐で力無く唸る。
『可哀想にさぁ~ちゃん…』
抱っこをし布団に寝かしながら母は沙耶香を見つめる。
とりあえず病院に連絡してくる
と
部屋を出て電話をかけた。
すぐにでも来てください!
そう言われ受話器を下ろした直後
『ヒデ!!ヒデ!!』
と部屋から母が叫んだ。
台所にいた妻と茶の間にいた俺が部屋に飛んでいくと
ゲボーっっ
沙耶香が苦しそうにミルクを吐いていた。
『様子が変や!』
と
今まで見せた事のない取り乱しよぅの母。
程なくして父が帰宅。
『行くぞ!!早よ用意せぇ!』
昨晩、夜間診察へと行った市民病院へと急行した。
沙耶香は
苦しそうに
辛そうに
泣きたくても泣けない程苦しそうに……
僅か④ヶ月の沙耶香は
言葉にならない言葉で苦しみを訴えるも…
それを和らげる事も身代わりになる事も出来ない歯がゆさに
この日も静かに病院を目指してた。
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