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長い夜
女医師が座ってる俺の前にきた。
『原因は分かりません。点滴の途中でひきつけの症状が現れました…
とにかく今から原因の解明と処置をします』
何事務的に言うてんねん
原因が分からん?
何眠たい事言うてんねん
己それでも医者か?
俺らはお前らに沙耶香を委ねるしかないねん
俺らで何とか出来るならこんなとこ連れて来てないねん
沙耶香に何をしたんや
沙耶香が何してん
苦しんでる沙耶香にお前は何をしてん
何でそんな他人事みたく無表情で喋れるねん
色んな感情が湧き出てくる
妻と母が部屋から出て行った。
父が俺の横に座り下をむく。
程なくして俺も部屋を出、受付まで行く。
『担当医を変えてほしい!違う医者いてないんか!』
初老の男性が出てきた。
『当直のドクターは①人だけなんです…』
「ほなその医者に変えてもらえんのか?」
『……今診察をしているドクターがそぅです』
「他にいてないんか!?これだけの病院やろ!他もっと医者居てないんかい!」
『それでも今診ているドクターは小児科専門なので…』
「その専門の医者が何をしたか知ってんのか!?」
ここで怒鳴っても何もならん事ぐらぃ分かってる。
「ほな病院変えるから救急車用意してくれ!」
『……』
怒鳴り声を聞きつけ妻と母が来た。
『ヒデくん…やめて…』
妻が涙を流しながら腕を掴む。
『怒鳴っても仕方ないやろここは!』
そう言った後母は受付の男性に謝った。
『親御さんの気持ちはよくわかります…でも今はドクターに全てを任せるしかありません…』
任せたいけど
任せれへんやろ
俺に出来る事は
任せて待つ事じゃないねん
さぁ~ちゃんを救ってやりたいだけや
さぁ~ちゃん苦しんでんのに
任せて待てるわけないやろ
一緒に風呂入って歌ってやりたいだけや
仕事から帰って
ただぃま…
って言いたいだけや
皆に可愛いなぁ~
って言って貰いたいだけや
沙耶香にまた…
笑ってほしぃだけやねん
ジっとなんて出来るワケないやろ!!!!!
結局…何も出来ず
治療室に戻った。
俺に出来る事は…
沙耶香を信じる事ぐらい…
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