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うぅ~
うぅ~
うぅ~
うぅ~
うぅ~
うぅ~
治療室には沙耶香の小さく苦しそうな声が響きわたり…
父と俺は何も出来ず
ただただそれを聞くだけで…
やはりどこに居ても結局は無力やった。
『他の医者いてないんか!?』
「俺も聞いた」
『どやった?』
「あれしか居てないって」
『なんでや!?』
「居てないもんはしゃぁ~ないやろ!俺に聞くな」
『何やその言い方!』
「何やねん!」
『…』
「…」
父の気持ちも俺の思いも一緒で、沙耶香を救いたいが一心の想いでぶつかった。
『ほな大丈夫なんか?沙耶香は…』
その言葉を投げられ
初めて
【死】
の一文字がよぎった
沙耶香が死ぬ
点滴が合わなかった。
僅か④ヶ月の子供に
点滴は早い。
点滴を始めてから急変した。
俺らの決めた事がキッカケで沙耶香が死ぬ。
俺だけじゃなく
妻も
父も
母も
それは考えていた事やと思う。
怖くて涙すらでん
手先が痺れる
喉が乾く
沙耶香の死が目の前まで来てるんか?
それなら
俺を連れていけ
俺だけを連れていけ
沙耶香だけは
助けてやってください
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