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部屋に入った。
沢山の保育器が目に入ってくる。
沙耶香を探す…
沙耶香は入り口から一番遠い保育器にいた。
沙耶香の姿は見えなかった…
けどそこに沙耶香が居てると確信する。
昨日の男性医師と③人の看護婦の塊。
一定の動作をする看護婦が②人、その横で背中ををこちら側に見せ機械らしき物を操作する男性医師。
これ以上進めへん…
医師が②人に気付く。
憔悴しきった顔で医師が告げる…
『皆さん帰られた直後……心肺停止状態になりました……。50分ぐらい蘇生活動をしてます』
沙耶香のそばに行った。
やっと会えた沙耶香は…
オムツ一枚の姿やった。
①人の看護婦が
保育器の頭側から手を入れ込み
沙耶香の口にチューブを入れ
肺に空気を送り込む。
足側からもぅ①人の看護婦が沙耶香の胸を拳で叩く…
目をつぶった沙耶香
心臓マッサージで
小さな体が小刻みに揺れる
涙を流し…
蘇生活動をする看護婦
小刻みに揺れる
オムツ一枚の沙耶香
空気を送り込む看護婦
揺れる沙耶香
呆然と…それらを…ただただ見ている俺
揺れる…小さな沙耶香
泣き崩れる妻
支える事さえ出来ない俺
気付けば父と母が後ろにいた
気付けば父に支えられてた俺
動かない沙耶香が揺れる
涙を手で拭いながら蘇生活動をする看護婦
この時
初めて神に祈る
助けて下さい
沙耶香を
助けて下さい
代わりに俺を連れて行って下さい
助けて下さい
俺なんかど~なってもえぇから助けて下さい
助けて下さい
お願いします
さぁ~ちゃんを
連れて行かんといて下さい……
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