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『……なんやこれ…』
誰に言うでもなくつぶやいた時、医師が口を開く
『今も言いましたが…約①時間ほど蘇生活動を続けています。でも一向に回復の兆しが見えません……』
下を向いたまま黙って聞く。
『……お父さん…………このまま蘇生活動を続けますか?』
父は…
『沙耶香助かるんやろ?』
と涙を流し俺に問いかける。
母は…
『さぁ~ちゃん!!』
と泣き叫んでいる。
妻は…
『さやか…』
と力無く呼びかけている。
沙耶香は、
両腕を上げ…
小さく足を広げ…
揺れていた。
⑥月②日の暖かい朝
俺には忘れる事のない
この時。
父親として
沙耶香に最後にしてやれる事…
それは
蘇生活動を中止する事やった。
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