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程なくして 医師から 死亡診断書 を受け取る。 色んな項目に分けられた覧には 心肺停止による… などと書いてあった。 サインをしろと渡された死亡診断書 沙耶香が死んだと言う事実を書類化したもの 少し経って… 沙耶香が戻ってきた 体全部を白いサラシに巻かれて。 母が抱き 妻が横に付き部屋を出て行く。 父もその後に付いて部屋を出て行く。 俺は… 医師と看護婦に頭を下げ 『…ありがとうございました』 と言い残し部屋を出た。 その時 医師の隣に昨晩の女医師もいた。 部屋から出た時 妻も父も母も俺も、うなだれる様にベンチに腰を下ろす。 母と妻は泣いたままで 沙耶香を抱きしめる 目を閉じ 息もなく 動かなく 変わり果てた沙耶香。 突然 『文ちゃん?』 母の知り合いが母を見つけよってくる。 『まぁ~…久しぶりやねぇ』 と 悟られぬよぅ気丈に振る舞う母。 『こんな早い時間から何してんの?誰かのお見舞いか??』 事情を知らない母の知り合いが 無情な質問ばかり投げかける。 『うん…ちょっと……。それよりアンタは何してんの?』 と 母が話題を変えよぅと問い返す。 『あぁ~ウチか?ほんまさっきの事なんやけど、娘が出産してなぁ~… ウチにも孫が出来たんや~!』 『…帰ろ』 すかさず立ち上がり①階におりた。 誕生日 と 死 光 と 影 同じ人間が生活する中で①人①人の運命が違うとこれだけの落差があるもんやと痛感せざるを得ん光景やった… 午前7時50分。 沙耶香が天子となった時間
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