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受け入れ難い死
『帰りにドライアイスを買って帰る…』
父が言った。
⑥月とは言え気候も初夏。
沙耶香の体を考えての事やった…。
そして実家へと戻る。
家に帰ると…
『帰ってきたで…さぁ~ちゃん…』
静かに父が泣く。
急きょ、学校から帰宅した弟は制服のままで待っていたけど
変わり果てた沙耶香のその姿を見るやいなや
泣き崩れる。
弟を抱きかかる。
『兄ちゃんとオトンの車が猛スピードで走って行ったん見たんや…』
泣きながら弟なりの不安感を伝えた。
『さぁ~ちゃんになんかあったんやって…』
そう言いながら弟は泣き続けた。
俺と父で
沙耶香を寝室に寝かせ、ドライアイスを両脇に置く。
程なくして…
妻の父と母が来た。
そ~言えば…病院から妻が実家に連絡を入れてたなぁ~
ぐらぃにしか思ってなかった。
『さぁ~ちゃん!さぁ~ちゃん!!』
と泣き叫ぶ義父と義母。
心の準備も無く
突然の沙耶香の死は受け入れ難いものがあったんやろぅ…
誰だって受け入れ難い死と言うものはある。
さっきまで笑ってた大切な人が
次の瞬間二度と会えない人となる。
当然が当然じゃなくなる時、人はこぅも弱くなるモノやとは夢にも思わず…
その現実に立ち向かう気力もなく…
人とは基本、人としてどの生物よりも弱く…
順応性に欠ける生き物やと思った…
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