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それぞれのこの日
父が出て行き妻がくる。
『何か食べとかんと…ヒデくん昨日から食べてなぃやろ…』
そう言って食事を持ってきた。
いらんは…
とせっかくの行為を断る。
『えぇから食べ…』
と言って少しずつ箸に取り口に運んでくる…
嫌々それを食べていると
『お茶も飲み…』
と差し出す。
本当にこいつは強い…
いや…
本当に俺は弱い…
父親としてじゃなく
人として本当に弱いと痛感した。
でもそぅ考えると…
我が子が亡くなって毅然と出来る人間より、
部屋の隅で悲しみにふける弱い父親の方が俺には合ってると思った…
『お母さん手伝ってくるし……ヒデくん…①人で食べれる?』
うん。
と力無く返事すると、妻は部屋を出ていき…また①人となる。
その直後
部屋に入ってきたのは叔父②と祖母やった。
『ヒデよ~!』
と泣き始める叔父②。
お宮参りの時
一番張り切っていた叔父②は、当時の本人とは別物でその場で崩れた…
『可哀想になぁ~…さぁ~ちゃんもヒぃ~くんも…』
そう言い涙をながす祖母。
『代われるもんなら代わってやりたい…』
祖母沙耶香の写真を見て言う。
悲しいのは皆同じで…
この日
沙耶香を取り巻く人々は皆涙やった
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