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【手紙】
夜が明け…
日は⑥月③日。
相変わらず沙耶香は眠ってる。
相変わらず皆は涙を流している。
やっぱり夢では無かったと……
分かりきった現実を思い知らされた…。
お昼過ぎになり、
会社から葬儀用の大きな花の看板みたいなのが届いた。
沢山の近所の人間が集まり…
着々と葬儀の準備が始まる中、俺は市内にある写真館へと向かった。
遺影。
明日の葬儀の為
昨日の夕方に父がこの写真館へ赴き写真を預けていた…。
『可愛らしいお子さんやねぇ…』
出来上がった遺影を手渡した店主、少し涙ぐんでた。
泣いているでもなく
笑っているでもない遺影になった沙耶香。
助手席に沙耶香を置き…
いつも実家に帰る時に使う道を走った。
また…
沙耶香と②人きりになる…
沙耶香を思い出すと、一緒に居た日々が余りにも短過ぎた為に同じシーンが何度も何度も繰り返される。
同時に
沙耶香にしてやれた事が何も無かったよぅにも思える。
今さら…
そんなん考えても仕方ない。
逆に
今俺が出来る事…
今しか出来ない事…
そや…
さぁ~ちゃんに手紙を書こう……
精一杯のありがとうを手紙に書いて、明日沙耶香が旅立つ時に手紙を渡そう…
最後に父親として沙耶香にしてやれる事…
それは蘇生活動を止めた事じゃなく
沙耶香に書く
最初で最後の手紙…
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