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『お前んとこに真由美…行ってるか?』
「来てない。何かあったんか?」
『夕方には帰ってくるって言うてたのに、侑己連れたまま帰ってこんのや…』
「福井さんとこに電話した?」
『掛けても出よらん』
「今すぐ行ってみる!」
『いや…ワシとお母ちゃん行ってくるしお前はそこにおれ!』
そこにおれ…
と言われても、妻と子供が帰ってきてない。
これだけでも十分な緊急事態。
一人会社に残り書類処理をしていたこの日…
いつもなら営業に回ってる社員が戻って来てもおかしくない時間やのに
今日に限っておそい。
帰ろうにも鍵もなくイライラしていると課長が戻ってきた。
急いで帰り支度をしながら課長に訳を説明し、会社を出る。
父の連絡から①時間半以上経っていたけど、とりあえず義母の実家へと急ぐ…。
状況こそ違うけど、またしても我が子と離ればなれになる…
そんな不安にかられつつ車を走らせる。
あの日と同じや…
沙耶香の顔が浮かぶ…。
妻に対する憤りが涌く。
やっとの思いで現地に着き、呼び鈴を鳴らして出てきたのは妻一人やった……
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