安寧への助力

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しかし、瞬時に炎が消失する。 部屋の隅に設置された、ボックス型の機械が明滅していた。 「こら」 赤毛の科学者が、少年の頭を軽く小突く。 「ダメでしょ、そんな使い方しちゃ」 少年は、キョトンとしながら頭を押さえる。 科学者は少年と同じ目線まで屈み、 「いい?  君はほんの少し、特別。  でも人間だわ。 そこに、他の人達との違いは無いの。 君の炎は、傷付け、物を燃やしてしまう。 でも、人を癒せる暖かさを備えているわ。  全ては、君次第なの」 科学者は、笑みを称え、両親に向き直る。 「お任せ下さい。 この子が、社会に適応出来るよう、あたし達が必ずや導いてみせます」 その言葉に、両親は涙を浮かべる。 「宜しく、お願いします…」 「ありがとうございます!」 深々と頭を下げる両親。 他者との違いに戸惑い、未来を見失う者達は数多く存在する。 そんな人々を導き、新たな未来を提唱する。 それが、ここハーベニュー国立支援センターの本懐である。
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