大夢編

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「椎名…」 「オレだって、親友なんだから」 椎名は、俺達に駆け寄ってきて抱きしめてくれた。 「不本意だけど、椎名を貸してやるよ。だけど、長谷川…ズボンぐらいはけ」 柴田は、そう言って椎名を置いていった。 「琉架ってば…」 椎名は、優しく笑った。 そんな椎名の笑顔につられて、俺も琉架も微笑んだ。 「ありがとうな。二人とも」 「大夢…、オレ由生さんとすれ違ったんだけど。由生さんって、大夢の事好きなんじゃないの?」 「僕も思ったよ。だって、弟が男とやってるだけじゃ、あそこまで泣かないはずだし」 「…き。由生には、言えないんだ」 「大夢?」 家には母さんと父さんがいて、由生を好きだなんてバレたら、きっと家族はバラバラになってしまう。 「…大夢」 「いいんだよっ…」 「…今日はどうするんだ?」 キュッと、椎名は俺の袖を引っ張った。 「どうすっかな…」 「オレの家こいよ。琉架も」 ニコッと椎名は笑う。 「そうだな。お邪魔するよ」 ポンッと椎名の頭を撫ぜる。 「ごめん、僕はこれから行くとこあるから」 琉架は、携帯のメールをチェックしている。 「わかった」 「なら、帰ろっか」
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