シュウトくん

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 . 「こんにちはー。みんなちょっと良いー?」 「………」  わたしがいた個室から大部屋の病室までは、あんまり距離はなかった。 「今日からこの大部屋の病室に移転して来た、さくらちゃんです。みんな仲良くしてね」 「さくらです。今日からよろしくお願いします」  わたしは自己紹介をして、お辞儀をした。  大部屋には女の人一人、赤ちゃん一人、男の子一人の3人いた。 「あーっ!!」  男の子を見た瞬間、わたしは思わず声を上げ左手で指差した。  男の子は何も言わないがわたしを見て、ビックリしている。 「あれ、さくらちゃん。“シュウト”くんと知り合い?」  医師がわたしに聞いて来る。  いや、知り合いじゃないけど……。 「リハビリの時に何度か見かけました」 「あ、僕のこと覚えてたんだ」 「うん、覚えてるよ」 「リハビリセンターで何度かしか見かけたことないからさ。距離も遠かったし」  リハビリセンターで見かけた時は、おとなしいと思ったけど元気な男の子だった。 「さくらちゃん。シュウトくんはね、さくらちゃんと同い年なんだよ」 「え、同い年!? じゃあ、小4?」 「うん、小4」 「そっかぁ。改めまして。わたし、さくら。よろしく」 「医師も言ったけど僕はシュウト。よろしく、さくらちゃん」 「うんっ。よろしくね、シュウトくん」  シュウトくんは男の子だけど、同い年ってことでわたしは人見知りが激しいけど親近感がわき、シュウトくんとすぐに仲良くなった。 .  同じ大部屋の病室にいるから、シュウトくんといっぱい話した。  夜中に二人でギャーギャー騒いで、看護師さんが来て二人してすっごく怒られた。  内容は覚えてない。  忘れたくなくても、時間の経過と共にわたしの記憶から少しずつ消えちゃったから思い出したくても思い出せない。  シュウトくんとの思い出いっぱい書きたかったのにな……。  でも一つだけ、ちゃんと覚えていることがあるから、それを書こうと思う。 .
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