191人が本棚に入れています
本棚に追加
.
「ねぇ―――って、あれ……?」
ちょっと目を離したら、女の子が消えた。
……ちゃぽん……。
「……っ?」
一瞬、水の音がした。
「おねぇちゃぁ~ん」
女の子がわたしを呼ぶ声もした。
「おねぇちゃぁ~ん。はやくきてぇ~」
「今、ちょっと行くから待ってー!」
女の子の声がした方へ行くと、そこには……。
「……みっ、湖……!?」
あり得ないくらい、大きな湖があった。
「あ、おねぇちゃん」
女の子もちゃんといて、湖の水で遊んでた。
「もう。話の途中で勝手にいなくならないでよ……」
「えっへへ~。てりゃあっ!!」
「うわっ」
女の子に近付くと、パシャッと湖の水をかけられた。
「もう~。いきなり何す……」
『いきなり何するの!?』って、わたしも女の子に湖の水をかけようとした。
でも……。
「どうしたの……?」
さっきまで女の子はニコニコと笑っていたのに、急に真顔になった。
「……よんでる」
「え?」
「わたしをよんでる……」
そう言うと、女の子は大きな湖に自分の足を入れ始めた。
「危な……っ」
(このままじゃ、女の子が沈んじゃう……っ)
わたしは、女の子を止めようとした。
ちゃぽん……ちゃぽん……。
でも、女の子はわたしを気にせず、大きな湖の中を進んでいく。
大きな湖だから深さはかなり深いと思ったが、女の子の膝くらいの浅瀬だった。
「…って、ホッとしてる場合じゃないっ!!」
わたしも大きな湖に入り、女の子の後を追おうとする。
でも……。
「……っ!?」
そう実行しようとしたら、身体が動かなくなった。
「……ッ……!!」
声も出ない。
(待って……待って……っ)
一生懸命身体を動かし声を出そうとしたけど、その間に女の子の姿は大きな湖の中に消えていった。
.
最初のコメントを投稿しよう!