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「……うわぁっ!!!!」
女の子が大きな湖の中に消えていったと同時に、わたしの身体は動き、声も出た。
そしてその時に、転んで顔面を地面にぶつけて痛かった。
「……わたし、今独り……?」
さっきまでわたしの前には女の子がいたから独りではなかった。
でも、女の子が大きな湖に消えた今、わたし以外に人はいない。
「……やだ……」
わたしは自分で一人になるのは静かで好きだけど、いきなり独りになるのは嫌いだった。
「………」
なんか独りになったと分かったら、急に足に力が抜けて、ストンと両膝が折れて、わたしはその場に座りこんだ。
(あの女の子は、一体何に呼ばれたんだろう……?)
わたしは女の子が消えていった大きな湖の先を見つめた。
(女の子が消えていった大きな湖の先に何があるんだろう……?)
わたしはしばらく下を向き、ぼんやり女の子のことを考えていた。
すると……。
……ちゃぽん……。
また、水の音が聞こえた。
下を向いて、女の子のことを考えていたからわたしは顔を上げて、大きな湖の先を見た。
「……あれ?」
……大きな湖の先には、さっきまで無かったものが存在した。
それは……。
「……花……?」
大きな湖の先が遠くて、あまりよく見えなかったけど輪郭からして、花だった。
花の色は―――真っ赤。
大きな湖の先に、真っ赤な花が見渡す限りにあった。
「……すごいキレイ……」
キレイな真っ赤な花が大きな湖の先にいっぱいあるから、わたしは一本欲しくなった。
欲しくて、わたしは左手を届かぬ大きな湖の先に伸ばした。
―――ドックン……。
「………?」
その瞬間、わたしの身体に何かが起きた。
両足は力が抜けて、動かないはずなのにわたしは立ち上がった。
わたしの脳は、両足が立つことを指示していない。
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