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aqua……… 蒼の中であなたは…… まだ見ぬ天の国を ゆらり揺れながら……… 虚ろげに見つめてる……… 悲しく静かなアクア……… 凍てつく蒼の世界……… 偽善も記憶も彼方の 静寂の刻の中へ……………… 潤す光と水と 満月が揺らめく 世界へ……… 『静かに浮かぶ清廉の乙女は……… 深く蒼き海にて刻を詩う……… その麗しく儚き歌声は…… 他のどの物よりも脆く……崩れやすいものだった……… しかし……それは同時に何物よりも美しかった………… これは失われし時と記憶の物語…… 奏でられし竪琴〈ハープ〉の音と共に 今、語り継がれる………』 深く刻まれた記憶…… 今は忘れ去られた 断片と化して 空へ海へ、土へ……… 時と共に腐食する 歯車は動きを止め……… 崩れた連鎖の中 欠片は巡り逝く……… 月がよく似合う 蒼き水の世界では…… 時が止まったこの時も…… 乙女が詩い続ける……… まだ見ぬ天の国を 想いながら……… 時の中で乙女は まだ見ぬ天の国を 眺めては詩う 断片を集めながら……… 悲しく儚きアクア……… 虚ろな蒼の幻想に 母のように抱かれながら…… 記憶へと導く…… 優しく月光が照らす 蒼きアクアの 世界へ………… 導いてあげるから…………… 古より海は 月が欠ければ 時を失うものだった……… だから詩という 術を遺した…… 止まった時を 永遠へ導くために そして語り継ぐために……… 竪琴の音色は 虚しげに響く…… 麗しく記憶を紡ぎ…… 月の浮かぶ蒼の中 乙女は願い詩う… 『天よ、全てを導いて……』 時を刻み続ける 羅針盤は再び動き出す…… 錆びた時の歯車もまた 蘇り、時を讃える……… 月蝕の世界にはない 美しく透明な 蒼の幻想世界は…… 記憶と時を…… 永遠に………… 導き続ける………
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