周りの目

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周りの目

ステロイド使用を中止してから、寛の肌はガサガサになり、体液がドロドロと出て来て下着につき、脱がせる時に肌がくっついて来てしまい、血だらけになる事もしばしばあった。 顔は、目が開かなくなる程に浮腫む日もあった。   地元のアレルギーの会に参加しても、中には寛と同じ様にステロイドを使用していない子はいたが、寛より酷い状態の子はいなかった。   皮膚科には一週間に一度の割合で通っていたが、ある時、先生に『ここまで酷い子を見るのは初めて』と言われてしまった。   認めたくは無かったが、寛の皮膚炎はかなりの重症だった。   気分転換にお散歩に出かけても、寛を見た周りの人の反応はたまらなかった。   一瞬、ギョッとした後に目をそらす人。 遠慮なく、ただジロジロみる人。 どこかの温泉が、肌に効くから行って来いと言う人。 お母さん、卵食べちゃいけないのよ と、いきなり説教する人…    他の赤ちゃんは、周囲からも『可愛い赤ちゃんですね~』なんて声をかけられているのに 寛には、それが一度もなかった。   一度は、4・5歳位の女の子がスーパーでベビーカーを見て駆け寄って来た事があった。 その子は寛を覗きこむなり『この赤ちゃん腐ってる!!』と大声で叫ばれた事があった。   今までは、周りの反応がどうでも、寛の笑顔を見て何とか頑張ってこれた。 だけど…これは…あんまりだ… 涙がボロボロ出てきた。 その場に居る事も出来ず、私はベビーカーから寛を抱き上げ、車まで走って逃げ出した。   声をあげて泣きながら、やみくもに車を運転していた。   私の赤ちゃんだよ 私のかわいい赤ちゃんだよ 他の赤ちゃんと同じ、私のかわいい赤ちゃんのはずなんだよ   なんで私の赤ちゃんだけが、こんな体質になっちゃったの? なんで? なんで?   こんな想いをする為に寛を産んだんじゃない…
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