夕立に相合傘

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「あんな所かよ……」 優一は黒板に書かれた座席表を苦々しい面持ちで見つめていた。 クジが一通り回ったところで番号を各自が言っていき、明子が適当に番号をふった座席に割り当てられていく、という今回の席替え。明子の気持ち如何で割り振りが変わってくるので、全くのランダムであり公平でもある。 ちなみに優一の席は、窓際の列の後ろから二番目。 「斜め後ろに一つずれるだけじゃないか……」 いくらランダムで公平であると言っても、こういった予想外の出来事は起こるものだ。 「私は優一の後ろになるのね」 操は黒板に書かれた名前を嬉々として見つめている。 「ナイスポジションね。これなら授業中に居眠りしてもバレないわ」 「とても学年一位の発言とは思えないが……。まぁ、点は取れてるから文句は言えないか」 優一はため息をついた。 「お前の隣は稔か。なんでこう、いつものメンバーが都合良く集まるかなぁ」 窓際の列の一番後ろに操、その隣に稔、操の前には優一。つまり教室の一角を優一らが占領したことになる。 なにか縁があるのかも知れないと、優一は内心感じていた。 「ねぇ、優一の隣は誰なのよ?」 「ん?」 操の言葉で我に帰り、優一は黒板を見る。 「立花さんか……。クラス替えで今年から一緒になった子だな」 「どこに居るのよ?」 「クラスメートの席ぐらい把握しておけ。あそこ」 二人は首を巡らす。 廊下側の列の一番後ろに、立花千歳(たちばな ちとせ)は座っていた。
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