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人もまばらな教室に朝日が差し込む。
空には雲一つどころか欠片すらも見当たらない。
今日も一日暑くなりそうだ。
「おはよーさん」
おざなりな返事とともに優一が入ってきた。眠そうな顔をしているのは、昨日散々迷ったからか。
「おっすーマイフレンド。今日も元気だな」
優一の机に腰掛けている稔。若干の皮肉を込める挨拶はいつものことだ。
「おはよ。優一」
操は自分の席で頬杖をついている。ニコニコしているということは、どうやら機嫌は直っているようだ。
「うすうす」
優一は自分の椅子に座る。
「はい」
そして稔に鞄を渡した。
「おう。……って何でだよっ!」
稔は一度は受け取ったがすぐにつっ返した。
「これはすまない。てっきり鞄掛けかと」
優一は鞄を受け取って本来の鞄掛けに掛けなおした。
「ま、ナイスノリツッコミだな」
「嬉しかねぇ!!」
「あはは!あなた達、漫才でもやったら?」
二人のやりとりを見ていた操が、堪えきれないという様子で笑う。
クラスメイトたちもクスクスと笑っていた。
「おはようございます」
そんな和気靄々とした教室に柔らかな声が響いた。
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