地に潜む者

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優一らのメンバーに新たな人物が参加した。 彼女の名は立花千歳。 突然の席替えによって優一の隣に配属された二年A組の生徒である。 「俺は錬金学が死ぬほど苦手だから。つーか実習が無理」 「なるほど……。分かる気がします。私も苦手ですから」 もともと人見知りな性格で他人と会話をすることを苦手としていたが、今はその片鱗は見られない。 この一週間ほどで見違えるように明るくなった。 「へぇ。意外だな。立花さんテスト結果学年三位でしょ?」 「テストは勉強さえ出来れば取れますから。実習はどうにもならなくて……」 クラスメート達にも彼女の変化は歓迎され、みるみるうちに打ち解けていった。 友達も増え、持ち前の美貌から、クラスの何割かの男子が狙っているというのは稔の情報。 そのような変化には、優一が加担をしているのだが。 「そういえば、高橋君は学年二位でしたっけ?何だか意外でした」 「やはり俺は馬鹿っぽく見られているのか……」 そんな関係もあって、千歳は晴れてこのメンバーに正式参加することになった。 優一とは席も隣なので談笑をしていることも多々見受けられる。 「まぁうちのクラスにはぶっちぎりの一位がいるんだけどな。なぁ、操?」 「……」 ただ、操にはそれが気に食わない。 理由はよく分からないが、並んでいる前に横入りされたような、そんな感覚に似ていた。
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